中野美術館は、創立者中野皖司氏が、家業=林業にたずさわるかたわら、約25年間にわたり収集した美術品の寄贈を受け、昭和58年12月、財団法人中野美術館として設立され、昭和59年3月に開館いたしました。
公開されることになった美術品は、明治、大正、昭和の三代にわたる近代日本の洋画、日本画であり、中野皖司氏の鮮明な意識のもとに形成されたコレクションです。開館以来当館では、館蔵品による展覧会(作家展、テーマ展、常設展)を中心に活動し、今日に至っています。
収蔵品 日本画 村上華岳をはじめ、入江波光、土田麦僊、榊原紫峰など国画創作協会会員の作品が大部分で、中でも村上華岳、入江波光の作品は、その大半を占め、華岳の中国列仙傳16点は貴重な作品です。その他に富岡鉄斎、横山大観、冨田溪仙、小林古径、徳岡神泉、など近代日本画の巨匠達の作品を収蔵しています。
洋画 須田国太郎をはじめ、青木繁、中村彝、村山槐多、万鉄五郎、岸田劉生、椿貞雄、熊谷守一、前田寛治、小出楢重、三岸好太郎、長谷川利行、松本竣介など異色の近代画家たちの作品、その他、浅井忠、久米桂一郎、国吉康雄、安井曽太郎、梅原龍三郎、鳥海青児、児島善三郎など、わが国洋画史上欠くことのできない著名な作家たちの作品を収蔵しています。
版画 長谷川潔、駒井哲郎、浜口陽三など銅版画の巨匠たちの作品を収蔵しています。
建設地と建物 中野美術館は、奈良市の郊外、近鉄奈良線学園前駅に程近い、緑豊かな蛙股池畔に位置し、自然と調和した美術館にふさわしい環境にあります。建物は、万国博、日本庭園の迎賓館などを設計された彦谷邦一氏の設計によるもので、建物の規模は小さいが、内装には吉野産の赤杉を使用し、日本的意匠を取り入れるなど落ち着いた雰囲気の中で作品が鑑賞できるように造られています。

アイテム